今更聞けない、iOS 8のHealthKit/ヘルスケアとは

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iOS 8からOSにヘルスケアアプリケーションが追加され、同時に開発者向けにHealthKitが提供された。(AppStoreに「ヘルスケア」カテゴリがあるが、「ヘルスケアアプリ」はOSに最初からインストールされているApple純正のアプリ(下の画像)。紛らわしい。)
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ヘルスケアアプリを使うと、運動の記録や各種対応デバイスを通じて計測された身体情報などのユーザの健康に関する情報を一元管理できる。

歩数・体温・心拍数…健康状態のモニタリング

歩行データとくにアプリの設定や対応デバイスを用意しなくても、iPhone自身のセンサーを使った歩数の計測データは自動的に蓄積されている。アプリを起動するとすでに過去の歩行データが記録されていて、見ると面白い。
iPhone単体では歩数データしか自動的には記録されないが、他のデバイスを通じて歩数以外のデータも記録していくことができる。例えばApple Watchを連携させれば、Apple Watchの心拍センサーを使って心拍数を記録できる。
Apple以外のデバイスでも、HealthKitに対応したデバイスであれば、各種データをヘルスケアアプリ内に記録していけるようだ。2015年4月にいよいよ発売されるSwaive Thermometerという体温計はHealthKitに対応しており、計測した体温をヘルスケアアプリに記録できる。体温計以外にも、今後HealthKitに対応した体重計や血圧計が発売されれば、今までは不可能だった詳細な健康状態のモニタリングが可能になりそう。
また、体温、体重、身長などの各種データは、対応デバイスを使わなくても数値を直接入力して記録していくこともできる。
なお、運動に関するデータとしてはジムのマシン(トレッドミルなど)のデータの連携が期待されるが、2015年3月末現在残念ながら直接対応しているマシンはまだほとんどないようだ。

 サードパーティのアプリ連携

iPhoneや各種デバイスを使って集めた健康状態に関するデータはHealthKitに対応したサードパーティアプリから参照したり、アプリ側からデータを記録することもできる。健康に関するデータをアプリ毎に分けて管理するのに比べ、一元管理できることでより深い分析が可能になることが期待される。開発者視点では、HealthKitに対応することによりアプリリリースより前のデータにアクセスできることで、新規ユーザを獲得しやすくなるというメリットがあるかもしれない。
iOSのヘルスケア関連アプリのトップセールスを分析してでてきた、「専門家のアドバイスがもらえる」サービスは、HealthKitと連携してサービス側(専門家)が様々なデータを参照できるようになれば、今後よりサービスができることの幅が広がっていくだろう。
なお、HealthKit対応アプリでも、データにアクセスする際にはユーザの「許可」が必要となるため、自分で許可してしまわない限り、不審なアプリに気づかず勝手にデータを見られるような心配はないようだ。

プラットフォームとしてのヘルスケア/HealthKit

ヘルスケアアプリ/HealthKitで健康情報が一元管理され、今まで実現できなかった健康管理ができるようになるのはユーザにとって決して悪いことではない。問題は、ヘルスケアアプリ/HealthKitは基本的にAndroidなどの他のOSで使用できないことだ。過去の健康データを他のOSのアプリに移行したい時、全くデータが移行できないということはないかもしれないが、おそらく移行できるデータは限定的になるのではないだろうか。もちろん、だからといってヘルスケア/HealthKitを使わないほうがいいという理由にはならないが、頭の片隅には入れておいたほうがいいかもしれない。逆に言うと、ヘルスケア/HealthKitが今後スタンダードになればなるほど、Appleにとってはユーザを囲い込む非常に強い武器になりそうだ。
同時に、Appleによるコントロールを嫌いHealthKitに対応させない方針をとるメーカーや、AndroidのGoogle Fitなど、他の共通プラットフォームを作ろうとする動きも出てきそうだ。何かしらの同じような機能が搭載される可能性は高い。ちょうどカーナビにおけるCarPlayとAndroid Autoのように。なお、車メーカーは当面はCarPlayとAndroid Autoの両対応の方針が主流になりそうだ。

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