最近、心拍数を計測できるウェアラブルな活動量計の発売が相次いでいます。でも、心拍数を計って何になるのか、具体的にどのくらいの心拍数だったら良いのか、正直疑問ですよね。そんな基本的な「心拍数」「脈拍数」とフィットネスの関係を紐解きます。
そもそも心拍数、脈拍数とは?
心拍とは心臓が血液を全身に送り出すための伸び縮みのことを指します。心拍数とはその伸び縮み、すなわち心拍の数ということです。脈拍数とはその心拍によって送り出された血液の流れの強弱によって血管、すなわち動脈に生じる動きの数のことです。
フィットネスの分野では心臓や血管が不健康な状態ではないという前提のもとで、心拍と脈拍がイコールで結ばれているものと考えていることが多いです。そのため、活動量計などでは「心拍数」と「脈拍数」が区別して表記されていない場合があります。
つまり、活動量計などで手首で計測できるのは、正確には脈拍数、ということになります。その脈拍数から心拍数を推測し、フィットネスの管理に役立てることができるのです。
ただ、前置きした通り、それは「心臓や血管が不健康な状態ではない」場合です。動脈中に疾患がある場合には脈拍が乱れ、心拍数とリンクしない可能性があります。
心拍数で有酸素運動か無酸素運動かを推測できる
さて、その脈拍数を測定して心拍数を知ることで、行っている運動の「運動強度」を概算することができます。運動強度とは低いほど楽に長時間続けることができ、高いほど辛く短時間しか続けることができません。
心拍数での運動強度は「カルボーネン法」という方法で計算され、%で表されます。運動中の心拍数を管理することでそれによって変化する運動強度を管理することができます。それにより、酸素をどのくらい摂取しているかという「有酸素運動」「無酸素運動」のどちらになっているかを推測できます。
- 〜50% ・・・ 通常
- 50%~70% ・・・ 有酸素運動 ・・・ 脂肪の燃焼にオススメ
- 70%〜 ・・・ 無酸素運動 ・・・ 筋肉増強にオススメ
カルボーネン法によって最適な心拍数を求める計算式は、
- 運動強度×(最大心拍数-安静時心拍数)+安静時心拍数
です。この「運動強度」には上記の通り、目的に合わせてパーセンテージを代入します。
また、計測が難しい「最大心拍数」は「220-年齢」で代用することができます。
「安静時心拍数」とは全く運動をしていない状態での心拍数です。より正確に測定する場合は朝目が覚めてすぐ、横たわったまま測定してください。
ダイエットに最適な心拍数とは
では、カルボーネン法を使ってダイエットに最適な心拍数を求めてみましょう。ダイエットの為には体脂肪を燃焼する必要がありますが、そのためには運動強度60%くらいが適しています。よく「おしゃべりしながらできる程度」と言われるくらいの運動強度です。
心拍数を計測できる機器がある方はその値を使って計算してみてください。今回は年齢30歳、安静時心拍数が一般的な平均値の70回/分として計算してみます。
- 運動強度×(最大心拍数-安静時心拍数)+安静時心拍数
- =0.6x(190-70)+70
- =142
というわけで、約142回/分がダイエットに適していると言えます。
運動を始めたばかりでこれではきついという場合には運動強度を50%にしたり、運動に慣れていてもう少し体力もつけていきたいという場合には運動強度を70%にしたりとフィットネスをしながら調節してみてください。
ただし、70%を超えてしまうと無酸素運動になってきてしまい、脂質を消費するに至らなくなってしまうので気をつけて下さい。
筋肉増強、筋トレに最適な心拍数とは
ダイエットではなく、筋肉増強を目指している場合には、逆に運動強度70%以上に心拍数を管理して短時間に重い負荷をかけることがポイントです。
心拍数を計測できる機器がある方はその値を使って計算してみてください。今回は年齢30歳、安静時心拍数が一般的な平均値の70回/分として計算してみます。
- 運動強度×(最大心拍数-安静時心拍数)+安静時心拍数
- =0.7x(190-70)+70
- =154
というわけで、約154回/分が筋トレに適していると言えます。
ただし、アスリートとしての訓練を積んでいない場合に運動強度80%以上の運動を続けることはお勧めできません。心拍数を計測し、自分の体と相談しながらトレーニングを進めてください。
フィットネスをするなら心拍数を計測して効果を最大化しよう
以上のように、脂肪の燃焼を目的とするか筋力トレーニングを目的とするかで目標とすべき心拍数の値は異なります。「おしゃべりをしながらできるくらい」や「軽く息が切れるくらい」といった体感的な目安だけでは正確に出来ているのか出来ていないのか、よくわかりませんよね。
フィットネス用の心拍数計を使用することで、目的にあった心拍数を維持しながらフィットネスすることができ、限られた時間の中で最大限の効果をあげましょう。
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