採血や薬剤注射の前に刺すべき静脈血管をはっきりと視覚的に確認出来る医療用機械が「VeinViewer」シリーズです。間違えた場所に薬剤を注射してしまうリスクや、腕や血管が小さくてわかりづらい子供や視認しにくい肌が黒い患者に刺し間違えてやり直しになってしまう可能性を減らすことができます。
近赤外線を肌に照射すると血管だけ黒く浮き出る
VeinViewerはこぶし大くらいの大きさで近赤外線を肌に照射し、その反射した赤外線を分析してそれに応じた画像を投影し返します。投影される画像は緑の光でできていて、血管部分は黒く映ります。
これは、近赤外線が水とヘモグロビンに吸収される性質を利用しています。近赤外線は人体にはほとんど無害なものです。
また、利用場所の明るさに合わせて、投影される画像を反転して血管を緑の光で映すモードも備えています。
血管が見えにくい患者に対して有効、肌の深さ1cmまで検知
VeinViewerは採血や注射の際に、血管が見えにくい肌の色が黒い患者や、体が小さい子供、表皮が厚い患者に対して特に有効です。光を照射しながら注射を行います。
血管の透視は肌の深さ1cmまで可能です。
リアルタイムで血管の様子を観察出来る
VeinViewerの利点はリアルタイムで血管の様子を観察出来る点にあります。CTAやMRIといった血管の画像を撮影する技術では広範囲の血管を撮影することができますが、それは静止画像です。
Vein Viewerなら血管を圧迫したり解放したりしながら血流の流れを観察できますし、また、薬剤を注射した際にはそれがきちんと血管に流れていく様子を確認することができます。注射による失敗を防ぎ、さらに失敗してしまった場合にもそれに早く気づけるメリットがあります。
手放しで照射できる据え置き型と訪問治療や問診の為の携帯タイプ
Vein Viewerは据え置きで手を離して使えるタイプの「Vein Viewer vision」と補助者が自在に持ち歩いて照射できる「Vein Viewer Flex」の2種類があります。
「Vein Viewer Flex」は約2時間使えるバッテリーを備えています。病院内での使用だけでなく、訪問治療への活用も期待できます。
同様の製品「AccuVein」
同じような商品にAccuVeinというものがあります。こちらも小型で持ち歩けるタイプの血管投影機械です。
参考リンク
Infrared Vein Finder | VeinViewer Flex | Christie Medical
直接投射型静脈イルミネーションデバイス 「VeinViewer®」 Erin Shelton (Christie Medical)
「血管を浮かび上がらせる医療機器」は静脈穿刺の役に立つか? – NATROMの日記
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