2人に1人が薬の飲み忘れに経験があり、日本で年間500億円分の薬が飲み忘れによって廃棄されているとのデータもあるほどです。それを防ぐために米国でクラウドファンディングからスタートした「Pill Pack」は朝、昼、晩など薬を飲むタイミングごとに日付と時間を印字した個包装のパックで薬を届けてくれるサービスです。
アメリカで広がっている画期的なスマートおくすりサービス
Pill Packは現在アメリカの全域を対象にした、生活習慣病などで継続的に4〜5錠の服薬が必要な患者に向けたサービスです。日本では法律が異なるためそのまま同じサービスが普及することは難しいと思いますが、医療の現場に対してどのようにテクノロジーが活用されるか、どのような工夫が患者に喜ばれるか、といった点において大変参考になりますのでご紹介します。
病院から処方箋をPill Packに転送、自宅に届く
Pill Packは実店舗ではなく全て郵送で業務を行う新しい薬局です。
かかりつけ医もしくはかかりつけ薬局からPill Packへ処方箋を転送するとそれに基づいてPill Packが服用する時間ごとに個包装にして自宅に届けてくれます。
このとき、ビタミン剤など医師の処方が入らない錠剤を服用したい場合は追加できるそうです。
個包装は一つずつ引き出せるロール式、終了前に次回配送をリマインド
時間帯ごとにまとめて個包装されたパックはロール式に専用の箱に収めて使用します。
袋には日付、時間、入っている薬の名前が書いてあります。
また、ロールが終了する頃になるとPill Packから次回の配送について確認が届くなど、患者が能動的に動かなくても自動的に薬を用意してくれるように動いてくれ、「面倒くさくてついつい後回し・・・」といったうっかりを防げます。
余談ですが、届いた箱を開けると担当薬剤師から手書きメッセージが入っているようです。遠隔のやり取りだからこそ、温かみを届けたいという優しさが嬉しいですね。
@PillPack thx for mamas personal note with her 1st shipment. You guys are making things way too easy! #pillpack pic.twitter.com/Eew1aTb5xe
— Rebeca Ortega (@booshay99) December 29, 2015
専用アプリが服用時間、位置によって服用をアラーム
合わせて専用アプリが服用時間を通知してくれます。この専用アプリもまた親切にできており、時間設定のほかGPSによって「会社に着いたら」「帰宅してすぐ」など位置に応じて通知をする設定もできるそうです。
確かに、筆者も夕食を外食にした時や休日に外出した時などに服薬し忘れた覚えがあります。どのようにして人は服薬を忘れてしまうのか、よく考えられていますね。
日本では薬事法「薬局において販売しなければならない」がネックに
日本では薬事法第九条の二、及び薬事法施行規則第十五条の十一にて、調剤された医薬品は、「薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に販売させ、又は授与させなければならない。」とあるため、Pill Packのように郵送で薬剤を販売することが違法とされてしまう可能性が高いです。
パッキング自体は各薬局でも不可能ではありませんが、機械の導入や何度も薬局へ行かなければならない手間を考えると現実的ではないでしょう。