色覚異常を補正するサングラスEnChroma

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色覚異常(所謂色盲・色弱)を補正してくれるというサングラスEnChromaがアメリカから届いたのでレビューする。


EnChromaは特殊な加工をされたサングラスで、色覚異常の人がこれをかけると色の違いがわかりやすくなるというもの。9月頃にこのサングラスを始めて使った人の様子を撮った動画がネットで話題になっていた。
仕組みの解説を見る限り、基本的には「今まで見えなかった色が見えるようになる」ではなく「今まで見分けにくかった色が見分けやすくなる」というもののようだ。なので、動画の被験者のリアクションは若干オーバーなのではないかという感じがする。ただ、理解が正しければ、今まで赤緑色盲の人にとって「赤-緑のグラデーション」はあまりグラデーションとしては目に映っていなかったが、それがグラデーションのように感じられる、というような違いは生まれるのかもしれない。
この仕組みによる効果は、Photoshopなどの写真加工ソフトを使っても体験することができるし、スマートフォンを使えばリアルタイムでそれを体験することも技術的には可能であるが、スマートフォンの画面を通して日常生活を送るのは現実的ではないので、普通のメガネの形でその体験をできることがこの製品の存在意義となる。
なお、色盲・色弱にも種類があり、効果が出るタイプの人と出ないタイプの人がいるようだ。効果が出る可能性があるかどうかは、EnChromaのホームページで調べることができる。
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という訳で、色覚異常を持つ筆者が実際に購入をしてみた。2015年10月現在、国内ではまだ販売されていないのでアメリカからの個人輸入。レンズの種類は、室内用のCx-65。
実際に装着をしてみると、確かに視界の色味は変化するが、動画の男性のように劇的な変化を感じるほどではなかった。この感覚は、ブルーライトカットのメガネを使っている時の感覚に似ている。LEDインジケータの色は多少見分けやすくなったような感じはするが、そこまで劇的に変わったわけではなかった。実際に、メガネをかけた状態で色覚テストをやってみたが、結果は変わらなかった。
試しに、周りで色覚異常を持っている人を集めて試す会を開いてみたが、大体みんな同じような印象で、残念ながら劇的に見え方が変わったという人はいなかった。ただし、この見え方というのは完全に個人の感想で、客観的に公正に比較できるものではないので、その点は頭に入れておかなければいけない。ちなみに、その時集まった人たちで色覚異常テストをやってみたところ、一言に「色弱・色盲」と言っても、驚くほど人によって見え方が違っていた。
現時点ではアメリカから直接購入しなければいけないこともあり、また商品自体の値段も決して安いものではない。また、人によって効果の出方も違いがあるため、なかなか購入のハードルが高いだろう。
ただ、商品のコンセプト自体は、色覚異常者にとって十分希望を感じさせるものだ。今後、より効果が高い製品が出て、実際に国内でも購入前に手にとって試せる日が来て欲しい。